土地放棄などによる所有者不明土地の現状
人口の減少や高齢化の進展により、地方にある土地の利用が減少傾向です。
また、人口は都市部に移動する傾向があるため、地方都市の過疎化が進み、それにより地方にある土地の所有者の意識が希薄化されています。
所有者特定のために、国や地方自治体は多くの時間や人件費をかけなければなりません。
そのため、所有者不明土地の存在は大きな問題となっています。
本記事では、土地放棄などによる所有者不明土地の現状と課題や、土地の所有者不明を解消するための取り組みについてご紹介します。
所有者不明土地の現状
国土交通省が調査した「平成28年度地籍調査における所有者不明土地」によると、「不動産登記簿上で所有者の所在が確認できない土地の割合」つまり、所有者が不明の土地が調査結果の約20%を占めていました。
今後も人口の減少や高齢化に伴い相続の機会が増加するため、所有者不明土地がさらに増えることが見込まれています。
土地放棄などによる所有者不明土地の課題
こちらでは、土地放棄などによる所有者不明土地の課題についてご説明します。
所有者の探索
行政で利用する場合でも、引き続き所有を続ける場合でも、まずは土地の所有者を探さなければなりません。
所有者の確認方法は、地元情報に精通している方や近隣住民への聞き取りなどであるため、効率的な探索ができていません。
そのため、所有者の探索には国や地方自治体の多大な時間的・金銭的コストがかかっています。
土地の利用ができない
国・地方自治体であっても、人の土地を勝手に利用することはできません。
どんなに荒れた、土地でも所有者が見つからないとなれば、利用することができません。
たとえば、広場などとして国や地方自治体が利用を考えても、所有者が不明の土地である場合、樹木の伐採もできないため、利用方針が立てられないという問題があります。
放棄された土地の取り組みについて
所有者がわからない土地は、所有者の許可なく勝手に整備することは出来ませんが、国や地方自治体としてはなんとかして土地を有効利用したいところです。
こちらでは、放棄された土地の取り組みについてご説明します。
特別措置法の公布
平成30年6月6日に成立し、6月13日に「所有者不明土地の利用の円滑化などに関する特別措置法」が公布されました。
こちらの措置は、所有者が不明の土地を公共機関が利用することに反対する方がいない土地を対象に、利用することができる旨を定めています。
所有者探索の合理化
原則として登記簿、住民票、戸籍など客観性の高い公的書類を調査することによって、所有者探索作業を合理化する仕組みです。
所有者探索の合理化のためには、下記のような制度の設立が必要です。
・土地所有者の探索のために必要な公的情報を行政機関が利用できる制度
・長期間にわたって相続登記がされていない土地を長期相続登記未了である旨などを登記に記載できる制度
所有者不明地の利用
国や都道府県知事により、使用権を設定された土地は地域福利増進事業に利用されます。
利用としてはポケットパークや直売所、防災施設などが挙げられます。
このように、現在は特例ではありますが、所有者不明の土地を国や地方自治体などが地域住民のために有効利用するための手段が確立されています。
おわりに
本記事では、土地放棄などによる所有者不明土地の現状と課題や、所有者不明な土地を解消するための取り組みについてご紹介しました。
所有者不明土地の利用は、前提として所有者を特定します。
しかし、所有者の特定には時間や人件費など、多くのコストがかかります。
そのため、特例の制定や所有者特定の合理化などが進められています。
「もしかすると自分も土地を相続したかも」ということも考えられるので、一度所有している財産を確認してはいかがでしょうか?
出典:国土交通省ウェブサイト (https://www.mlit.go.jp/)
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リゾート・バンク コラム部
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